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人々より、高い位置に立つ王族6人。彼らが立つのは、本来の広場の役割である、処刑台である。この広場は、極悪人や、謀反人を見せしめとして処刑する場なのだが、今、見せしめられているのはこの国の王族達である。横に一列に並ぶ彼らの顔は暗く、これからの未来を暗示しているのようだった。しかし、その中に一人。他の王族とは、明らかに違う存在がいた。その者は、王族の証である、銀髪で、目は紫。ここまでは、他の王族と変わりはない。だが、左目は、長い前髪に隠れていて見えないが、その表情は、"笑っている" 酷く、嬉しそうなのだ。堪えてきた何かが終わり解放されるかのような、やっと、自由になれるかもという希望に満ちた、そんな表情。他の王族とは明らかに異なる表情。そんな彼の気持ちを知ってか、知らずか、いよいよ、“発表”が始まるようだった。
「ご機嫌麗しゅう、ルナ・ムーンライトの皆様!これより、我等がサン・ライト王国、王ウルフリック・ド・サン・ライト陛下による皆様の処遇を発表したいと思います!」
この場に漂う陰鬱とした雰囲気に似合わぬ、明るい声が辺りに響いた。音の発生源である、男は、一体いつ現れたのか処刑台の王族の前にその姿を晒していた。その姿は、一言で表すのなら、黒い。身につけているもの全てが黒で統一されているのだ。ローブを着ていることから、魔法使いではないかと推察できるが、あいにくと確かめる術は、ない。声からして男かと思われる彼は、仮面に隠れて見えない表情も相まって不気味だった。しかし、この場でそれを気にする者などいない。皆、ルナ・ムーンライトの王族でさえも、彼の口から伝えられる“発表”のほうが大事だからだ。ただ一人を除いて。
(くだらない。早くこの茶番は終わらないだろうか?)
そう、カークは心の中で呟いた。長い長い因縁の決着が二日前やっと着いたのだ。ルナ・ムーンライトへの処遇が良いもののはずがない。そう、カークは決定づけている。
(できれば、早く死にたいなぁ)
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