第2章 戦い

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【王城 太陽宮 玉座の間にて】 (あぁ、俺は知っている。) 口の中で呟く。勿論、声にはだしてない、というか、だせない。 目の前の光景は異様で思わず当たり前のことを考えてしまうくらいには、衝撃的な光景だった。 普通、雨は外で降る。当たり前だ。 雨は、無色透明だ。当たり前だ。 雨は、天候だ。人が降らすものではない。当たり前だ。 雨は、液体だ。当たり前だ。 しかし、目の前には屋内で、金色で、1人の人が降らしている固体の雨がある。というか、降っている。現在進行形で。 謎のメイドに連れられ、通された部屋で起こっていた現象は俺こと、カームデンブルクの常識を捨て去るには十分過ぎるものだった。 普通なら。 初めてのはずで、予備知識もないのに、俺は降ってる雨が本当は何であるか知っていた。 実際に、驚いたのはほんの一瞬で後は何故か得体の知れない既視感だけが残っていた。
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