第2章 戦い

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気持ち悪い。 知り得ないことを知っている自分が。 この場の空気が示すことが。 そして、何より死ぬことが許されないことが。 わかってしまった。 記憶の片隅にやけに明るい女の声がこびりついて離れない。 "太陽の雫"の種子の役割と“太陽”が望んでいること。 ぐるぐる、ぐるぐる回っている。 ウロボロスのように終わりのみえない思考が永遠に続く。 何度も何度も繰り返し、結局行き着くのは〈生〉の一文字。 俺は、また死に損なう。 しかし、それを認めたくなくて否定したくて何度も何度も繰り返し考える。 俺を置いてきぼりにし、謁見は進む。 俺の最も望まない方向へと。
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