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思わず、笑ってしまった。
彼がサン・ライト王国から出ないと返事をしてくれた。これはこの国を、私たち王族を許してくれるということだろう。
嬉しい
そう純粋に思えた。
続けて、質問をする。
ーー貴方は、従者だけでなく護衛としても仕事をしてもらわなくてはなりません。恐らくですが、生半可な気持ちでは出来ません。それでも宜しいですか?ーー
一拍と間をあけずに彼は頷いた。
そこで、ふと疑問に思う。会ったばかりの相手に忠誠を誓ってるわけでもないのに、何故ここまで速く自分の将来を決めることが出来るのだろう?
まさか、自分を救いだしてくれたからなどとは思えない。少しぐらいは躊躇ってもいいはずでは……?
それはほんの微かな疑問の種だった。
疑問を隅に追いやって、アイリスは質問を続けた。
ーー正直に言いますと私は王族の中でも特に力がありません。私を支持する貴族など皆無に等しいのです。なので、これから貴方には窮屈な思いをさせてしまいます。こんなことは言いたくないのですが、私から別の王族にすることも出来ます。どうしますか?ーー
先程と同じように一瞬も間をおかずに彼は首を横に振った。
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