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序章
その知らせは、"世界"を駆け抜けた。
「西大陸の覇者"ルナ・ムーンライト王国"、東大陸の大国"サン・ライト"王国に敗れる」
今から2年ほど前、ルナ・ムーンライト王国とサン・ライト王国の間に戦争が勃発した。戦争の理由は、ほんの些細なことだった。しかし、かねてより両者の仲は悪く、水と油のように相容れない存在だった。よって、両者の間に戦争が起こるのは避けられないことだったのだ。
そして、2年後、決着はついた、いや、ついてしまった。ルナ・ムーンライト王国の敗北という形で。これにより、ルナ・ムーンライト王国は、サン・ライト王国の属国となったのだった。
しかし、ルナ・ムーンライト王国の本当の"地獄"はこれからだった。
始めに、王族は、全て奴隷へと落とされ、サン・ライト王国の王族のものとなった。
次に、ルナ・ムーンライト王国を生産地とする農作物には、高い税金がかけられた。
何ヶ月か経ち、ルナ・ムーンライト王国の民は、準王民として扱われることとなった。準王民とは、奴隷ではないが、王民より下の扱いを受ける。これにより、元ルナ・ムーンライト王国の民は、サン・ライト王国の民に差別されながら生きていくこととなった。
これは、そんな"世界"で生きている
太陽の化身たる王女と月の化身たる王子の
幸せを求める物語り。
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