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今は昔。ある国の神殿に、有能だが無精者の神様が住んでいました。
ある日、三組の夫婦が神殿にやって来ました。彼らは神様に切実なる願いを叶えて貰おうと、はるばる地方から出てきたのでした。
いざ神様が願いを聞き入れる段になると、まず一組目の夫婦が御前に出ました。
その夫は地面にひれ伏し、こう申し出ました。
「私は子種を持たない身体に生まれました。どうか哀れな私どもに子をお授けください」
神様はふむと頷き、夫婦を下がらせました。
願いは聞き入られたのでしょうか。それがわからなかった夫婦は仕方なく神様の様子を見守ることにしました。
次に、二組目の夫婦が前に出ました。
今度は妻の方がひれ伏して、こう申し出ました。
「私は子を産めない身体です。どうか哀れな私どもに子をお授けください」
この時も神様は、ふむと頷きました。
夫婦は戸惑いつつも、前の夫婦と同様に、引き下がってこれを見守ることにしました。
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