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世の中には魔法が使える人がいるんだけど、私のまわりには誰も魔法を使う人がいないから、私には無縁なものだと思っていた。
テレビや動画だと魔法と手品はあまり見分けがつかないけど、はじめて生で見た魔法は福祉施設で見た手が動かない人が作る編み物だった。編み針も使わず毛糸がスルスルと動いて、ニット帽になった。その人は『編み物が好きでずってやっていたけれど、病気で手が動かなくなってしまったの。でも魔法使いの先生に習ったら、また編み物ができるようになったんだよ。もっとも私の魔法は編み物だけだがね』そう言った。
その魔法使いの先生を紹介してもらって、レッスンを受けることにした。
ドキドキしながら先生に電話したら
「動きやすい服で来てください」
と言われた。
「?わかりました。よろしくお願いいたします」
とりあえずジャージを着ていくことにした。
初レッスンのため、教えられたじゅうしょに行くと、マンションの一室だった。
先生は物静かな女性だった。
なんにもないがらんどうの部屋に先生は1人立っていた。
「ここは私のレッスン場なの。色々あると危険だし、集中できないから 」
先生は微笑んだ。
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