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「悠くん、体は大丈夫ですか?」
正面にいた阿須間先生が聞く。
発情期休暇だったが、表面上は病欠になっていた。
優しく声をかけてくれた阿須間先生を、悠はジロっと睨み付ける。
先生がビクっとした。
すると、急にニコっとした。
かわいいが、作り笑いっぽくて怖い。
「ええ、大丈夫です。ご心配をおかけしました」
とても綺麗な笑顔だが、目が笑ってない。
いつも学校で見ていた、すかした悠だ……。
そこでチャイムが鳴った。
悠は綺麗な動作でカバンを横のフックにかける。
そして、気だるい表情で前を向いた。
その一連の動きが、美しかった……。
睨みつける顔とか、綺麗すぎる作り笑いとか、ハンパない。
先生はチラっと俺の方を見た。
何か訴えかけている感じがして、思わず小さくうなずいた。
阿須間先生は担任だから、悠がどうして休んだのか知っている。
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