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3 悠の登校
授業に出て、1時間目がもうすぐ終わる頃だった。
窓際の席で外を見ていると、校門から入ってくる学生が目に入った。
こんな時間に登校?
と思っていると、俺のショートパンツにパーカー。
悠?
フードをかぶっているが、見慣れた姿。
ポケットに手を突っ込んで、ものすごくガラが悪い風。
思わず席を立ってしまった。
「どうしましたか?」
阿須間先生が、驚いた顔をしてこっちを見ていた。
「いえ、すみません……」
それだけ言って、座る。
窓の外を見ると、いつも学校で見ていた悠だった。
今朝の悠とはかけ離れた、すかした感じの美少年。
その悠が、先週の金曜に持っていたカバンを肩にかけて昇降口に入っていく。
遠目だったが、ものすごく不遜な感じ。
テストで負けた時と同じ雰囲気……。
あともう少しで休み時間なので、それまで待っていようと思っていたら、教室の後ろのドアが開く。
一斉にみんながそっちを見る。
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