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下校の時刻が憂鬱だ。
見知らぬ小学生たちが和気あいあいと帰る中を、独りぼっちで通り過ぎる。
小学四年生の春に転入してきた幸太は、孤独というストレスに押しつぶされそうだった。
季節は初夏へと向かっている。
少し強めの太陽が、幸太のうなじを照りつけていた。
(お父さんが転勤族だからいけないんだ)
小学一年生の二学期、埼玉から秋田に転校したときもこんな気持ちだったっけ。
秋田はお父さんのふるさとで、いきなり訛りの強いばあちゃんの家に住むことになった。
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