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自分を大きく見せたいのか、やけに大ぶりな行進をしている。
「うんしょ、うんしょ」
苦労して教卓の上によじ登る。
教卓の上に?
目の前で繰り広げられるその光景に、しかし驚いている様子なのは俺だけだ。
皆当然のことのように、おとなしく席にかけている。
しかしこれは……
「やあやあ、みんな、おはよう~~」
「おはようございます、先生」
「今朝もまた縮んだんじゃないですか?」
「はにゃっ!!そ、そんなわけないでしょ~~」
ぷんぷんと顔まで赤くして怒る少女。
笑いで満たされるクラス。
一人混乱する俺。
「も、もう。と、とにかく、HR始めるからね」
そう言って、自分の体より少し小さいくらいの黒い冊子を開く彼女。
それが幼児のものであればかわいらしい光景であったろう。
しかし、今、自分達の目の前に立つそれは…………
「じゃ、出席からね」
「はい、先生!!」
先生と呼ばれる少女。
それは先ほど俺に声をかけてきた赤髪の少女だった。
2-3
「あら、ちょっと大きくなったんじゃない?」
「ちょっ、やめろし~~~」
女子生徒が数人集まって自分達の胸を揉み合っている。
「……はあ」
やっと訪れた昼休みに心底ほっとしていた時のことだ。
最初あの赤髪少女が先生だと名乗った時は頭がおかしくなったのかと思ったが。
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