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5 誘惑に負けたくなかった……
他の部屋は洋間だが、ここだけ和室だ。
寝室兼勉強部屋で、家の中で一番くつろげる場所だった。
電話をするために閉めていた唐紙が開いて、悠が顔を出した。
「カイト、電話、終わった?」
遠慮してるのか、おずおずと言う。
目が、おかしい……。
とろんとしていて、明らかにおかしい……。
「終わった」
携帯をズボンの後ろポケットに入れた。
「ご飯、食べ終えたよ。一緒にいてくれるんだよね?」
無理するように笑って、悠は部屋に入ろうとする。
それを押しとどめる。
「俺はまだだから、リビングに行こう」
努めて笑顔で言う。
「え?」
悠は驚いたような顔をした。
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