1 アルファとオメガ

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「カイト……」  俺の名を呼び、裸で床に座り込み、潤んだ瞳で見上げてくる、昨日までの好敵手(ライバル)を見下ろす。 「どうしよう……、ボク、どうしてこんな……?」  上気した頬、乱れた息。 「さぁ……」  聞きたいのはこっちだ。  教室に忘れ物を取りに来たら、俺の席に(ゆう)がいた。 「とりあえず、服、着ろ」  そう言って、脱ぎ捨てられていたシャツを拾って渡す。 「ん……」  悠は恥ずかしそうにシャツを受け取り、細くて白い身体に軽く羽織る。 「……ボタンしろよ」 「熱い……」 「そうか……」 「うん……」 「お前、α(アルファ)じゃなかったのか?」 「αだよ!」  悠はムキになって叫んだ。 「でも、それ、どうみても……」  Ωの発情期じゃないか? と言うのをやめた。  言わなくても本人はわかっている。  この年齢になれば、Ωは発情期が来るようになるから、検査をしなくてもそれで判別ができる。  Ωには、三か月に一度、一週間程度の発情期がある。  恐らく、悠は、その発情期が来ている。
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