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「どうしよう、カイト……」
悠が抱きついてきた。
「ちょっ……」
泣きじゃくる悠を無下に引き離すのもためらわれた。
「カイト……」
必要以上にスキンシップをしてくるクラスメートに、小さくため息をつく。
昔から男にしては背は低いし華奢な感じで、カッコいいというよりは、可愛い系だと思ってた。スポーツ万能で成績も上位だったから、まさかΩだとは思わなかった。
「ここだと、誰が来るかわからないから……」
悠の髪をそっと撫でる。
色素が薄い感じの、サラサラな猫っ毛。
悠って、こんなに魅力的だったのか?
それとも、Ωの出すフェロモンにやられているのだろうか?
「ん……」
悠が体をピクンとさせる。
昨日までの悠と、全然違っていた。
昨日までというか、さっきまでは普通だったのに……。
「ウチ、来るか?」
悠がピタっと泣き止み、俺を見上げる。
「カイトの家?」
その言葉をつむぐ唇が濡れていて、思わずみとれてしまう。
「ヘンなこと、しないから」
そう言っても、気を抜けば何をしてしまうか自分でもわからない。
悠は不満そうな顔でもじもじしている。
頭がクラっとするのを堪える。
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