233人が本棚に入れています
本棚に追加
Ωは異性、というか人類すべてをその気にさせるフェロモンを発情期になると出す。
「今、ここで他の奴らに見つかったら、どういう目に逢うかわからないぞ」
悠がビクっとする。
「ど……、どんな目に逢うの?」
「わかんないけど……、ヤバいんじゃないか?」
さっきまで上半身裸で、ズボンのボタンは開いていた。
しゃがみ込んで小さく丸まり、上気した顔で泣きながら見上げる姿は、その気がないヤツでもヤバい。
「カイト、αだよね」
「まあ、一応」
「一応って……、いつもぶっちぎりでトップのくせに」
先週、2位だったからか、恨めしそうに悠が言う。
「俺、両親がΩだから、αでも下の方だよ」
小3の時に、検査でαであることがわかって、Ωクラスからαクラスに移った。
「そんなの、関係ないよ……」
抱きしめてくる力が強くなる。
「ボク、両親、αなのに……」
肩が悠の涙で濡れる。
これは、Ωの発情期というだけでなく、αではなかった悔しさもあると思う。
むしろ、そっちの方が強そうだ。
俺はΩだと思われていたのにαだったからまだいいけど、αだと思っていたのにΩだったというのは、屈辱以外の何でもない。
Ωは性交渉にしか興味のない、頭の中身が空っぽな連中と思われている。
最初のコメントを投稿しよう!