後編

3/4
前へ
/5ページ
次へ
「この前プリンは嫌いって言っていたのに、どうしてこんなに買うんですか?」 気になっていた事を尋ねてみると、紫藤さんは苦笑いを浮かべた。 「昔から、締め切りが近くなると糖分摂取としてよくプリンを食べるんです」 糖分摂取ならチョコとかの方がいいのではないだろうか。 どうしてわざわざ嫌いなプリンを選んだのだろう? 「昔はプリンが大好きだったんですよ。それこそチョコレートよりも。......でも、だんだんプリンを見ると締め切りを思い出すようになってしまって、いつしかプリンが嫌いになっていました。けれどプリン以外だと違和感を感じてしまって、変えることも出来なくて......」 それは......かわいそうに。 何とも言えない理由に目を丸くする。 「あ。原稿、返してもらってもいいですか?」 そういえばまだ返していない。 あわてて持っていた原稿を紫藤さんに手渡した。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加