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信吾の家は、不良の集団がガソリンを撒いて放った炎に忽ち包まれた。
ぼおおおおおおおおお!!
ごおおおおおおおおおおお!!
う~~~~~~~~
かん!かん!かん!かん!
おぎゃあ!!おぎゃあ!!おぎゃあ!!おぎゃあ!!おぎゃあ!!おぎゃあ!!おぎゃあ!!おぎゃあ!!おぎゃあ!!おぎゃあ!!
「よしよし、もう大丈夫だよ。」
燃え盛る信吾の家の消火活動を行った消防士は、焼け落ちる寸前の一室のベビーベッドの上で、激しく泣きわめく一人の女の子の赤ん坊を救出した。
・・・・・・
・・・・・・
それから10年後。
「うーうーうーうーうー。」
女の子は、壁際に踞って呻いていた。
「うーうーうーうーうー。」
「友加里ちゃん、私にも口を聴いてけれないの。」
「しょうがないよ。赤ん坊の頃にとても恐い経験をしたんだから・・・」
「あの娘が救出された火災が起きた家に、両親を撲殺死体が発見されたり、息子が瓦で変死体で発見されたり・・・」
「考えてみりゃこの子、こんなに酷い事件経験をしてるんだもの。心を閉ざしているのも無理も無いね。」
友加里は、自らの殻に籠って生活していた。
故に、引き取り先の従姉妹の家でも同じように壁を見詰めて、「うーうー」と唸るだけの毎日を送っていた。
「やっぱり・・・この子、施設に送ろうか?」
「馬鹿言え!!友加里は『家族』だ!!」
義理兄の高志が、従姉妹の家族へ反論した。
・・・友加里・・・
・・・お前の心を開かせる為なら、何でもするぜ・・・
・・・また笑顔を取り戻したいんだ・・・
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