絡まる鍵 guilty feeling

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固まる芽衣。 鳴り響くインターホン。 「・・・出るぞ」 「えーっ、ちょっと待って!あたしまだお風呂も入ってない」 「別にそ・・・小野寺くんが来てからでもいいだろ」 崩れ落ちる芽衣を無視して、玄関へと向かう。 少しだけ早歩きで。 だって、1週間ぶりの奏だ。 25日・・・奏の誕生日を一緒にすごして、 そのとき以来の奏だ。 早く、顔が見たい。 声が聞きたい。 触れたい。 扉を開ける。 そこには、俺の大好きな奏が立っていた。 「・・・え?」 笑顔で迎えた俺を見て、驚く奏。 俺は中の芽衣に聞こえないように、近づいて話す。 「奏。久しぶり」 「柳澤さん・・・・・・どうして」 「父さんたちに頼まれたんだ。いない間実家に戻ってきてくれって」 「・・・そうだったんですか」 どうしよう。 すごく、すごく嬉しい。 こうして奏と話せることが。 近くで奏を見られることが。 「会えて嬉しい・・・・・・奏」 「・・・・・・ひろ――」 芽衣の気配がして、慌てて2歩下がる。 奏も慌ててそっぽを向いた。 「いらっしゃーい、奏くーん!」 芽衣は俺を突き飛ばして、奏に抱きついた。 さっきより声の音階が1オクターブ高くなっている気がする。 女って・・・恐ろしい。     
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