冗談じゃない

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 映画が始まった。  まずは迫力の低音が俺の座っているソファーを揺らす。サブウーファーからの低音はお隣さんに迷惑だろうが、昼だから勘弁してもらいたい。迫力には必須なのだ。  迫りくる敵のロボットが、車と人型に変形しながら国防軍と戦っている。  軍の装甲車が凪ぎ払われて、建物に突っ込んだ。  そこに味方が登場し、戦況は一変。見方は回りの建物を破壊はするものの、敵が敗走するまで叩きのめす。  敵の1体が見方のロケットランチャーを喰らってビルに倒れ込んだ。  その時だ。突然俺の部屋の壁を突き破って目の前に大きな物が飛び込んできた。 「うぉぉい、な、何だぁ!?」  俺のステレオ群が壁の重みでぐしゃりと潰れた。  警備用ドローンだ。2階建ての建物くらいあるでかい図体で、要人なんかを警備している戦闘に特化した警察の全自動ドローンである。その上に男がひとり乗りかかっていた。男は色黒な、いや、黒人といったところか。スキンヘッドで少し赤みがかった肌の色をしていた。そのためか、恰幅が俺より断トツで良い大男だ。  男はドローンの頭部にある視覚カメラを何か硬そうな物を使ってピンポイントで打ち壊そうとしている。  ドローンは部屋の中を掻き回して、男を振り払おうとするが、男はドローンのセンサー類が詰まったコア部分を叩き壊して動きを止めようとする。  ドローンの腕で机が真っ二つに折れた。振り回された補助腕でランプが壁に飛ばされて割れる。  俺は暴れているドローンの餌食にならないよう部屋の隅に隠れてあわあわと右往左往した。  俺の鼻先をドローンの腕が掠める。  (勘弁してくれよ……)  すると、ドローンのセンサーが俺を感知したようで、俺を掴もうとアームを伸ばして襲いかかって来た。  俺は部屋の中を跳ねたりして逃げ惑う。  そんな俺に気づいたドローンに乗りかかっていた男は、冷蔵庫を盾に隠れていた俺の所に来て、腕を引き上げた。  ものすごい力で、一瞬俺の全身が浮いた。 「Come on ! Do you wanna die !?」
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