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(え、英語……?)
そんなことを考えている時ではない。
「は、はい!」
男と俺は、ぽっかり空いた壁の穴からドローン横目にアパートを飛び出した。
ドローンも体制を立て直して追ってこようとするが、アパートに機体が食い込んでそう簡単には抜けられない様子だ。
男はその間に、近くに駐まっていたうちのアパートの大家さんの車の窓を、手に持っていた何かで割ろうとする。よく見ると、e-ショックガンだ。警察が装備する犯人取り抑え用の銃である。
だが、強化ガラスが標準装備なので昔のドラマのように易々とは割れてくれない──はずだった。
男は少しタメを作ると、その腕力にものを言わせて少しついていた傷めがけて銃の尻を叩きつけた。すると、ガラスは氷の板のようにパキっと割れた。
素早くドアロックを解いてショックガンについている強制プログラムを認証キーに承認させる。
「Ride on !」
俺は腕を引かれるまま、顔面から助手席に飛び込んだ。
男はドア閉じ、アクセルを目一杯踏み込んだ。
車輪が一瞬空回りして煙を上げる。
車が急発進した衝撃で俺はまともに座れず、助手席と運転席の隙間から後部座席まで吹き飛んだ。
時を同じくして警備ドローンも起き上がり、こちらに迫ってくる。
車は細い路地を際どいハンドリングでターンしていく。
ドローンが走行体制を採り、腕が殺傷モードのエヴァポレーションに変形した。つまりは、ドでかい電気銃だ。喰らったらその部分が蒸発する。俺という一般人がいるのに!?
「おいあんた! エヴァポレーションモードになったぞ!?」
男はサイドミラーを一瞥すると、何かひとこと言って(多分"掴まっとけ!"だと思う)アクセルをもっと踏み込んだ。
車はさらに加速する。モーターの耳に障る高い周波数の音がよりうるさくなった。
通常の乗用車では出せないようなスピードも、警察の強制プログラムにかかれば直線で時速100キロまでの加速は2秒だ。
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