冗談じゃない

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 男はオーバーヒート寸前のうるさいモーター音を気にしてか、ジェスチャーで俺に何か説明してくる。  まず助手席に引っ張られたので移った。  それから運転席側のドアを開ける。  だが、束の間の安寧は右隣を過ぎていった家屋が閃光とともに吹き飛んだことで終わる。説明の途中で男は険しい顔に戻った。  ドローンだ。  男は再度アクセルを踏み込んで加速すると、今度はわざと直線の道を進んだらしかった。  後ろではドローンがエヴァポレーションモードでまた狙いを定めている。先程の回避を学習しているはずだから、急ブレーキの手は使えない。  (どうするつもりだ……?)  どんどん加速する。  ドローンも加速する。  男はギアを最大まで引くと、座席に横においてあった塵はたきをかけてアクセルペダルを踏んだままに固定した。  そのあと男は一瞬笑ったように見えた。  この直線の先は確か……川だ! 「Come on」 「えっ?」 男は俺の腕を掴むと、車を飛び出した。 「えっマジで? ちょっt!!」 俺もつられて飛び出す。俺は転がりに転がって民家の塀に激突した。半袖短パンだったのであちこちを擦りむく。  だがそんなことを気にしている余裕はなかった。俺は必死だった。  俺は車の行き先を見つめた。  ドローンは俺たちが車を飛び出したのを見て止まろうとするが、スピードの余り急には止まれない。履帯から火花が散った。  車は道の突き当たりのガードレールを突き抜けて宙を舞った。  ドローンも続けて飛び出す。  二つは川の堀の対岸に激突して凄まじい爆音とともに爆発した。破片が頬を掠めて切れた。俺は思わず目を瞑る。 「Take that !」 「やったか?!」
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