冗談じゃない

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    1  ──ココカラダト綺麗ニ見エルネ。  乾いた電気信号が脳を伝わった。俺は伝わってきた電気の信号を何の違和感もなくそのまま口に出す。 「ここからだと綺麗に見えるね」 頚(くび)の付け根に埋め込んだ解析チップが受信した暗号を復調して脳の言語を司る部分に伝えている。 「ええ本当。すっごく綺麗!」 ナズナさんが満面の笑みで俺にそう言った。  ──ソウダ今度モマタ一緒ニ来ヨウヨ。 「そうだ今度もまた一緒に来ようよ。多分夏くらいがもっと綺麗なんじゃないかな」 俺は目の前一面に広がる黄色い花の絨毯に目を遣った。花の名前は判らないが、植物生成プラントで創られた新種の流行花であることは分かる。  すると、今しがた頭の検索エンジンに『オシロステネス』と花の名前が浮上してきた。死語で"黄昏の別れ"という意味らしい。だが、この情報は今は要らない。フィードバックを送信する。 「うんそうね。また来たい!」 ナズナさんははにかみながら言うと、高台にある展望台から身を乗り出して花畑を眺めた。  ──コンニチハ、アナタハ******##×@ツキ。トス---・』『スルベキダ、。。。  (なんだこれ。電波の乱れか? 今時珍しい)  脳にガザガザとノイズ混じりに変な信号が流れた。  俺は頤(おとがい)を左手の拳で軽く2、3度叩く。 「どうかした?」  ──イヤ、チョットノイズガ入ッタダケ。 「いやちょっとノイズが入っただけだよ。最近衛星の電波が乱れてるみたいだから」
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