冗談じゃない

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 植物園を見終わったあと、3時になったので僕とナズナさんはお茶だけ飲んで解散することになった。俺にはこのあと特に用事もなかったけれど、ナズナさんは提出する論文の仕上げがあるらしくて、少し早くお暇(いとま)したかったようだ。  俺は駐輪場に駐めていたスクーターのところに行きハンドルに手をかざした。 「オガタライム、21サイ。免許ハ更新済ミデス」  手をかざした本人にだけ聴こえる生体認証ガイダンスが登録内容を読み上げる。  これの嬉しいところは、自分の好きな声で音声ガイダンスを設定出来るところだ。俺は元アイドルで今は女優に転身した中原メイの声を設定している。何を隠そう、俺は地下アイドル時代からの大ファンである。  俺は溌剌(はつらつ)とした彼女の元気な声を聴きながら、シートにまたがりヘルメットを被った。 「起動」 そう声を出すと、モーターに回路が繋がる。  俺はそのまま植物園の白亜紀の森林からニューマテリアルで建てられた高層ビルの市街地へと、地面を蹴りだした。
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