冗談じゃない

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    2  高速道路を下りると、昔ながらのコンクリート建築が並ぶ住宅街に入る。一本の大きな幹線道路を挟み、西が俺の住んでいる旧市街で、東が新市街という風に分かれている。  俺の住んでいるアパートは特に古い。大学へ通うため上京した時に借りた2階建てのアパートで、となりとは薄い壁1枚の粗末なやつだ。  下の駐輪場にスクーターを駐めて、2階に上がり吹きさらしの廊下を端まで行く。  指で認証パッドをなぞり、複合遺伝子認証のキーをあけた。  部屋に入ると自動で照明が点いた。 「ようライム。彼女とはどうだったんだ? えらく早いお帰りじゃないか」  リビングのテーブルの上に置いておいた端末から低い男の声がする。  ──ワイビー、ウルサイゾ。今日ハレポートガアルカラ早メニ帰ルンダッテ。 「ワイビー、うるさいぞ。今日はレポートがあるから早めに帰るんだってよ」 「そりゃ残念だなぁ。男なら"一晩おともする"くらいの優しさがあってもいいんじゃないかライム?」  ──余計ナ心配スルナ。 「Alのくせに余計な心配するな」 「少子化はこのご時世の社会問題だぜ? 俺らが促進しなくてどうすんだよ」  "ワイビー"は俺のパーソナルコンサルタントAlだ。高校の時に俺のパソコンに迷い混んだホームレスAlで、俺のお宝画像をバラされたくなければ俺をインストールしろ、と半ば強引に転がり込んできた、まあいわゆる"居候"ってやつだ 。鉄壁のファイヤーウォールをほんのこ10秒で突破したこいつの能力は一流だが、なにぶん小洒落た感じのインテリ中年オヤジ風に振る舞うこいつの態度は、はっきり言って少し苛立たしい。
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