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──ウルサイ。早ク飲ミ物ヨコセ。
「うっせぇ。とっとと飲みもんよこせ」
注文しておいたジュースを要求する。
「おらよ。お前の好きな-2℃で冷やしといたぜ?」
台所の冷蔵庫の扉が自動で開いた。
──気ガ利クジャナイカ。
「気が利くじゃんか。後でクラウド容量追加してやるよ」
俺は冷蔵庫できんきんに冷えたジュースを取り出した。
「いいねえ。これで俺の論理迷宮がやっと完成する」
ワイビーはちらちらと部屋の照明を点けたり消したりして興奮している様子を表す。
──ソレジャテレビツケテ。
「んじゃ、テレビつけて今旬のムービー何か見繕って」
「仰せのままに、マイロード」
こういう気取ったところが少しムカつく。
「ロボットもんが好きなライム殿には、あのニューハリウッドで話題だったトランスフォーマー─レジェンド・オブ・ジ・エンド─をお見せしよう」
「何それ。初耳なんだけど」
──"トランスフォーマー─レジェンド・オブ・ジ・エンド─"。ジョン・キャメロンが贈るSF作品。地球を支配した金属生命体との戦いの裏で友情と絆の熱いバトルが繰り広げられる。ロボットの戦闘シーンは大きな見所──
検索エンジンにかけると、そう出てきた。
「へえ、おもろそう。照明落としてシネマスクリーンモードに切り替え」
そう声にだすと、照明が消えて壁に映像が投影される。今時VRじゃないのは、俺が結構アナログな人間だからだと思う。
いちいち俺の反応にレクシスからレスポンスが来るのは面倒だから、受信機を切っておく。俺は"マニュアルレスポンス"と頭に浮かべてレクシスに信号を送り送受信をオフにした。
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