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宇宙を支えるやさしい子
「何で、ヒロちゃんが死ななきゃ行けなかったの?」
私は帰り際にヒロちゃんに尋ねてみた。
ヒロちゃんは困ったような、悲しそうな笑顔を私に向けた。
「なんでだろうねぇ。いっぱい悪いことしたからかな?」
私、悪い子だったもんね。と言ってヒロちゃんは笑った。
確かにヒロちゃんは悪い子だった。中学校もロクにいかなかったし、高校も中退。部屋の壁もボコボコに殴って穴だらけにしてたし、髪の毛を自分でざんばら切りにしたり腕に大量の切り傷を作ったり、唇にピアスを開けたり金髪にしたり、トゲトゲの首輪とトゲトゲの厚底靴を履いたり穴だらけの服を着たり、目の周りを真っ黒にするメイクをしたり大音量でヴィジュアル系ロックバンドの曲を夜中に流したりして、私達をよく困らせた。
「でも、そんなの今思えば大したことないし、それが死ななきゃいけない理由にはならないよね?」
「そうかなぁ?それはもう死んじゃっていないからそう思うだけじゃないかな。もし生きてたらきっとお姉ちゃんとまたケンカしちゃうかも」
ヒロちゃんは飴を持っていない右手で口元をおさえてふふふ。と笑った。
ここにあるものは全てがデタラメだ。
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