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感謝の言葉が足りなかったのかと口を開こうとした時、都築さんに遮られて本題を思い出す。
「いや、えっと、そう! 飴玉関係なくなってるなーって!」
「あ。そういえばそうですね」
「あの、本当にお構いなく。喜んでもらえただけで、すっげー嬉しかったんで。これも、大事に食べますね」
ありがとうございますと頭を下げて、都築さんが踵を返す。仕事に戻っていく背中を見送りながらかける言葉を探すけれど、なんと言っていいのかわからない。
言いたいのは礼だろうか、それとも、他の何かだろうか。
「飴、なくなったら。また何か持ってきていいですか?」
都築さんがエレベーターに乗り込んでドアが閉まる直前、真剣な顔で聞かれた。
「っ楽しみにしてます……!」
とっさに返した言葉が正解だったのか自信はなかった。けれど、都築さんは笑ってくれたから、きっと間違いではなかったのだと思う。
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