九 月曜日

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「おれに、さん付けしなくていいっすよ。敬語もいらないです」 「え? いや、そんなわけには」 「草町サンはくん付けだったじゃないすか」 「それは、まあ……後輩ですし」 「おれ、草町サンより年下っすよ。おれがさん付けで、草町サンがくん付けなのおかしくないっすか」 「ええ?」  年下だからって、取引先の人をくん付けもどうなんだ。  多分、そんな僕の気持ちは顔に出ていた。口に出さなくても、言わんとすることはおそらく都築さんもわかっているんだろうなと、なんとなく思う。  不満はあれど、自分の要求がわがままだとわかっているような。わかっていて、それでも許してほしいと思ってしまう、物わかりよくなりきれない子どもみたいな。  かける言葉を探しているうちに、すっと受領書が攫われる。ポケットに受領書をしまいながら口を開いた都築さんは、既にいつもの顔だった。 「飯行きましょ。奢ります」 「え」 「誕生日、過ぎちゃったけどお祝いさせてください。そんで、友達になりましょう」  開いた口がふさがらない。何言ってるんだ、この子。 「年下の友達なら、さん付けじゃなくてもいいでしょ?」     
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