おひるやすみの恋

十 火曜日

「タコさんウィンナーとミートボールはどっちがグッときますか」
「た、タコさん……？」
　大真面目に聞かれる日がくるとは全く思っていなかった質問に、思わずおうむ返ししてしまった。
　ていうか、久々に聞いたな、タコさんウィンナー。小学生の頃には弁当に入っていた気がするけど、久しく見ていない。
「味付けは塩派ですか、ケチャップで赤くした方がいいですか」
「え、そんなのもあるんですか？ うちは塩だけだったと思いますけど」
　言われてみれば、友達の弁当に赤いのが入ってるのを見た覚えがあるような、ないような。二十年近く前の記憶は曖昧すぎてアテにならない。
　中学に上がれば、弁当なんて質より量になってくる。タコにしない分、一本多く入っていたような覚えがなくもない。
　それよりも、頭に引っかかっているものがあった。二十年越しにあいつがなんなのかが知りたい。
「タコじゃないやつもありませんでしたっけ。横長で、左右が細かくなってるやつ」
「カニですか？」
「あれカニだったんですか?」
　都築さん知ってた！ すごい！ 軽く感動してるはずだが、あのエイリアンがカニだったことの衝撃がデカすぎる。
「カニ？ あれが……？」