十二 木曜日

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「それはそれは……おめでとうございます、で合ってますか?」 「えへへ、ありがとうございます。これからもがんばります!」 「……これからは、もっと水曜日が楽しみですね」 「っはい! 期待しててください!」  にこにこというよりは、きらきらと、都築さんが笑う。声をかければかけるほど、そのきらきらは輝きを増すような錯覚を覚えて、受領書へ視線を外した。  何度も見ている都築さんの笑顔に動揺するのはおかしな話だ。がんばっている若者のエネルギーに当てられたからって、どうしてこんなにドキドキするんだろう。若いっていいな、なんて思うほど卑屈でもないし、そもそも僕だってまだ二十代だ。  サインなんて、ものの数秒で書き終わってしまう。ここ数週間、仕事以外の話をし続けてしまったし、何か話をしなければと若干焦った。  あ、そうだ。伝言を、預かっていた。  思い出して顔を上げる。 「好きです」 「……え?」  時間が止まったみたいだった。言葉を発するために開いた口から出たのは疑問形の一音で、都築さんは心ここにあらずで固まっている。     
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