十五 火曜日

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十五 火曜日

「草町サンて、いい人ですね」 「え? 草町くん?」  都築さんと話すようになって、飯以外の話題を振られたのは多分初めてだ。想定外の話題に思わず聞き返してしまった。  この間自己紹介したばかりだからそんなものだろうけど、いきなり草町くんの話なんて、何かあっただろうか。 「さっき、下で会って。トマトジュース奢ってもらいました」  そう言ってポケットに入っている缶ジュースを示しながら弁当の箱を机に置く。ちらりと覗くパッケージは、ここ数週間ほどで何度か見たものだった。 「ああ、現場で流行ってるっていう」 「板井さんは飲んだことないんですか?」 「自販機はあんまり使わないので」  言いながら弁当の数を確認して、受領書にもサインする。受領書を返そうと振り返ると、都築さんがくるくる回しながら缶を見ていた。  相変わらず目は合わないけど、こちらを気にしているのはわかる。それがなんだか、少しだけ腹立たしかった。     
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