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「子どもみたいなことしてすみませんでした。自分にも、板井さんにも、ちゃんと向き合います。逃げません」
「なに、言って」
「今日のカレー、板井さんのために作りました。絶対、食べてください。それから」
握られた手を見ていられなくて、顔を上げた。上げなければよかった。
頬を染めてまっすぐ僕を見る都築さんなんて、見ちゃいけなかった。見なければ、心臓が跳ねることも、それに気づくこともなかったのに。
「これからも、おれが作った飯、板井さんに食べてほしいです」
プロポーズみたいだなと思った。おれのために味噌汁を作ってくれ逆バージョン。
変な勘違いをしそうになって、現実逃避のネタのつもりだった。でも、都築さんの顔を見てると勘違いでもないのかも、なんて思えてくる。
落ち着け、自分が作った飯を食ってほしいって、料理で稼いでいるのだから当然と言えば当然の欲求だ。
もしかしてと、そんなバカなを行ったり来たりしていたら、少しだけ手を握る力が強くなった。あまり強く手を握らないでくれ。心臓がうるさい。心臓がいつも以上に動いて、顔も、さっきまで冷たかった手まで熱くなってく。
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