146人が本棚に入れています
本棚に追加
/57ページ
「お言葉に、甘えて。いただきます」
「美味しかったらまた笑ってくれるかなって……作りながらドキドキしちゃいました」
「……そういう報告はしなくていいです」
えへへと笑って、袋に入れ直してくれる。漬け汁の分か、受け取った瓶はずっしりと重かった。
カラフルで、色んな種類がぎゅうっと詰まった瓶。僕にはわからないけど、きっと都築さんのことだから素材の味が活きるようにと色んな工夫をしてくれている。
「ゆっくり食べてくださいね。どんどん漬かって美味しくなりますから」
「また、一気に食べないように気をつけます」
「食べちゃったらその時は、また持ってきますよ。いっぱい作ったんで。一気に食べちゃうくらい気に入ってくれたなら、そんなに嬉しいことないです」
都築さんが笑う。ふりかけには白飯だったけど、ピクルスはどっちかと言えばパンですかとか、聞きたいことがあるはずなのに、なんだか胸が詰まって言葉にならない。
胸の中に、新しい感情の種がある。芽吹かなければその名に確信が持てない、小さな種だ。都築さんが笑うと、その種に水をやられている気分になる。
最初のコメントを投稿しよう!