十八 金曜日

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 都築くんからの合いの手は入らなかった。呆けているって感じじゃなくて、噛みしめてるって感じ。理解しようとしてくれてるんだろう。  まあ、それでも無反応ってのは続けていいのか不安になるし、言葉もない、みたいな魂の抜けた顔されると、ちゃんと聞いてくれてるか心配になる。僕の何を見てたのって拗ねた気持ちにもなった。  それにしても、拗ねることが大人気ないとは思わなくなったのが新鮮だ。恋してたら普通じゃんって開き直ったとも言う。 「そんなに意外? 僕だって、都築くんのことちゃんと見てたよ」  最初は、友達としてだったけど。今は、恋だと思う。 「すみ、ません」 「謝んないでよ。……僕の態度が悪かったんだろうってのは自覚してるから」 「そんなこと」 「ない? ほんとに?」  ほんの少し腰を折って下から見上げてみた。じーっと見てれば、まだまだ若い男の子は根負けして本心を教えてくれる。 「…………眼中にないんだろうと、思ってました」 「素直だね。かわいー」  あからさまにムスッとされたらやっぱりかわいくて、口元がニヤけるのを抑えられない。それがもっと都築くんのへそを曲げる。  この感じ、いいなあ。僕のせいで表情が変わる、感情が揺れる、相手の中に自分がいるんだって、想われてるんだって思える。相手には申し訳ないけど、くすぐったくて、嬉しい。     
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