四 月曜日

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 それもほとんどインスタントだ。家庭科の授業以外で、僕は出汁をとったことがない。まだ自炊らしきものをしていた学生時代、粒状のダシの素バンザイ、と割と本気で思っていた。 「聞いてもあまり面白い話ではなかったと思いますが、答えはこんな感じでよろしいですか?」 「えっ? 」 「都築さんの好きな具も聞きたいところですけど……次の配達ありますよね。お引き止めしてすみません」 「あっ、の……!」  僕の顔と手元の受領書、弁当と時計をぐるぐる見回してから、都築さんは緊張感漂う顔を上げた。 「僕も甘い味噌汁好きです! かぼちゃとか大根とか! ま、また明日!」  勢いよく頭を下げて、顔を上げる勢いのまま振り返って早足に去って行ってしまう。数秒ぽかんと呆けてしまったけれど、挨拶くらいはしなくてはと後を追った。  短い廊下の先のエレベーター前に都築さんの背中を見つける。よかった、間に合った。 「都築さん」 「ふぇっ? はい!」 「また、明日」 「う、あ……はい」 「……エレベーター、来ましたよ?」 「わっ、とと……し、失礼しますっ!」  ドアが閉まって、エレベーターの中でお辞儀したままの都築さんが見えなくなるまで見送り、そのまま管理部の自席へ戻る。スリープモードになっていたパソコンを起動していると、向かいから声がかかった。 「板井くん。何かいいことあった?」 「え? 別に、特に何も」     
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