第3話 あの人の鼓動は……

1/12
前へ
/26ページ
次へ

第3話 あの人の鼓動は……

 ハラリ。ハラリ。  白い雪は重さが無いのかの様に中を舞う。黒の礼服に身を包んだ私は、白銀の世界を進む。何度も通った道をまるで何かに引き寄せられるかのような足取りで歩く。  ピタリと立ち止まったのは、どこにでもある様な墓石の一つ。  この墓石の前に立つと、必ずあの時のことを思い出してしまう。  そういえばあの時も、今日の様に雪が舞う寒い冬の日だった。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加