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?二十二年前?
Sid S
微かにアルコールの臭いが鼻を突く。目を開けると、視界には無機質な天井と申し訳程度につけられた蛍光灯の灯りが映り込んだ。腕を上げようにも鉛のように重く、自分の手では無いかのごとく言う事を聞かない。
「真理! 気付いたか!」
叫ぶ様に私の名前を呼んだのは深藤英斗。彼の姿を見ると思わず微笑んでしまう。彼も私が微笑んだからか、フッと息を吐き出した。
そんな彼は、握っていた私の手を放すと、枕元にある。ナースコールを押した。腕が重かったのは、ただ単に彼が手を握って固定していたからの様だ。
私は名家である遠浅家の一人娘。二歳年上の英斗とはとある理由で親が決めた許嫁である。今の時代には馴染みの無い政略結婚というものだが、別に彼に不満は無い。むしろ出逢って良かったと思っているくらいだ。
「私はどうなったの?」
「六時間位前にいきなり倒れたんだ」
「そう。心配かけたわね」
「そんな事無いさ。……すぐ元気になる」
部屋には私と英斗の二人だけしか居なかった。そのため、少し広く感じてしまう。すると、コンコンとノックすると共に数名の看護師と四十代後半くらいの医師が入ってきた。
「目が覚めたようですね。……主治医の西野透です。これから少し検査をしますので廊下で待っていてください」
彼はその指示に従い廊下に退室すると同時に検査が始まった。とは言っても、脈を計ったり、質問された事に対して答えていくと言った当たり障りの無いものばかりだったが。十分程で全ての検査が終わり西野先生たちは退出して行った。
残り 二十四時間
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