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少女が居るはずの場所には誰もおらず、真っ白だった壁には僕の背丈を越える大きな鏡が設置されていた。それを理解した瞬間、僕はあの少女が「私は彼方だから」と言ったのも、不意に両親の話を持ち出したのも、不思議と全て納得してしまった。
なぜなら、僕は彼女と会話をしていたのだから。
その日以降、僕は一度たりとも彼女に会うことはなかった。今もオカルト話や幽霊は信じていない。でも、僕にとってあの時間は忘れることのできない時間なのだ。
Fin
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