冷たいよ、律くん

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近付いては遠ざかる街の灯りが、どんどん滲んでいく。元々運動があまり得意ではない私はすぐに息切れしてペースダウンしたけれど、それでも止まりたくはなかった。 ……もっと、もっと遠ざかることができれば、私は彼から離れられるだろうか。もっとフラットな想いでいられるだろうか。こんなに、感情を動かされずに済むだろうか。 『…律くんは、そうまでしても繋ぎ止めたいと思った関係って、ないの?』 『ないよ、そんなの』 ---頭ではもう、分かっていたんだ。 私が欲張りすぎていることも、私ばかりが律くんを好きで、そんな半ば片思いのような現状で彼からの愛情を欲しがるなんて、図々しいにもほどがあるということも。 それでも。一年もそばにいたのに、私はちっとも、彼の心を動かせていないだなんて。 「バカみたい…っ」 吐く息も、濁らない。そこに存在しているのか、この目では確認できない。 …私も、そんな存在なのかもしれないな。 そこにいようがいまいが、律くんにとっては大差なくて、どうでもいいことで。その存在のためにわざわざ必死になんてなる必要がないから、彼はあんなに突き放したことばかり言うのかもしれない。 それも気付かずに舞い上がって、なんて痛々しいんだ、自分。
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