永遠のファンファーレ

2/15
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
13万人の観衆の中、天高くファンファーレが鳴り響く。 日本ダービーのゲートが開かれ、各馬が全力でターフを駆け抜ける……。 「馬券は全然だったけどいいレースだったよな猛」 「レースも良かったけど俺はファンファーレの海の中をずっと泳いでいたいよ…ずっと…ずっとな……」 中央競馬の関東で行われるGⅠレースはすぎやまこういち作曲の発走ファンファーレが使用されている。猛はそのことを言っている。 「ファンファーレの海か…やっぱり芸大生は独特の感性を持っているな」 「お前だって文学部出身だろ。未来の作家先生さん。それじゃまたな」 競馬場正門前のアハルテケ像の前で僕らは別れる。 猛の影は府中競馬正門前駅の構内に吸い込まれていった……。 僕は東京競馬場から徒歩圏内の実家へ向けて府中の街を闊歩する。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!