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お互い浮気もない、家にはお金はちゃんと入れてくれ管理もさせてくれるいい夫であったが、男と女の時間は結婚と同時になくなった。
いつものように、送り出したが、見送った一時間後の朝五時にけたたましく電話が鳴り響く。
「会社の者ですが、ご主人が事故に合われて今搬送中で……」
「いたずら電話はやめてください」そう言って電話を切るも、何度もかかってくるので本当なのだと慌てて、荷物を詰め込み息子を抱えて病院に行く。
既に、救急車の中で息は引き取っており、なすすべもなかったと言われ、言葉も何も出ない中、三歳になったばかりの息子が「とーたんねんね?」と手を伸ばしている。
慣れているはずの医師や看護婦も顔を背け、無垢な子供の「とーたん」と呼ぶ声だけが病院内に響く。
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