女神の前髪

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月曜の朝は憂鬱だ。 しかも今朝はいつにもまして寝不足である。 原因は、昨晩遅くまでゲームをしていたから。 30を過ぎた女の寝不足の理由が、ゲームのやりすぎとはあまりにも情けないことだということは分かっている。 しかも物凄くそのゲームをやりたかったわけではない。ただなんとなく、朝になって会社に行くことに抵抗したかっただけだ。 その結果、冴えない頭とボロボロの肌で出社することになったとしても。 満員電車に押し込められ、ほんの少しの仮眠をとって、ホームに投げ出される。 人波に逆らうことなく、私は周りに迷惑にならない程度の速度で歩く。 流される、その他大勢の1名。 ゲームでいえばモブキャラだ。勇者や姫に見向きもされない。 私は口の端を上げてふっと笑った。 あまりにも自虐的な考えになるのは、やはり月曜のせいだ。 私は時計を見て、まだ少し時間に余裕があることを確認すると、会社の近くにあるいつものコンビニに入った。 コンビニに入ると、側にあるATMの後ろにごつい体格の警備員が立っていた。 ATMが故障でもしたのか、警備員の前にはワイシャツ姿の細い人がガチャガチャと作業をしている。 その様子を横目で見ながら、私はレジに直行しコーヒーを買った。
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