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チャンスはまるで、小魚が飛び跳ねる様に一瞬で
暑い夏の日ざし。
水がきらめき、時おり小魚が飛び跳ねる....。
河原沿いのバーベキュー広場に
若い男女が集まり、はしゃいでいました。
「こんにちは」
私が何となく声をかけた相手。
顔をよく見たら、私の大好きなバントのギタリストだったから、何が起きたのか自分でも分からず、一瞬で頭が真っ白になりました。
「キャーーーー!!」
ひたすら大声で叫ぶ私。
驚いたような、嬉しそうな顔をして、こちらを見つめてくる彼。
私は彼の隣に座って、
バクバク動く心音を誤魔化しながら
彼に、彼の歌の話を始めるのでした。
「......で私、そこの『鳴り止まないんだ!』ってシャウトの後に入るギターの高音が好きなんですよ。あの後に続く『ジャッジャジャーージャジャジャ!』が、セクシーでもう!聴いてて気持ちよくなっちゃうんですよー!」
「~ああ。あそこは、僕も弾いてて好きな部分なんだよ。」
淡々と応える彼。
ヤバイ気持ちが通じ合っちゃった。
どうしよう~!
私とKAZは、彼の音楽の話題で盛り上がる...と言うよりは、のぼせ上がった私が、会話を盛り上げようと一方的に喋り、それを彼が淡々と聴き、答えるだけでしたが.....。
私は、伝えたかったのです。
私は誰よりも彼の音楽の事を知っていると。魅力の本質を分かっているの、と。
ただ、伝えたかっただけかも知れない。
しかし、一通り会話が終わると....沈黙が流れ、彼の目から私への興味が消えて行くのでした。
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