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「こっちは順調だよ。前は趣味の延長線でやってたんだけど、今は会社になってる」
「本当ですか?」エス氏は目を見開いた。
「君がここ10年くらいの間に見た印象深い事件や事故のほとんどに僕は携わってるよ。川で溺れた少年を助けた男性とか、火災現場から母子を救出した近所の住民とかね。すべてうちの会社に所属しているアクターがやってることだ。今はもっと大きな仕事も引き受けてる」
「というと?」エス氏は身を乗り出した。
「国からの仕事だ。あまり詳しくは言えないけど、戦争のきっかけだって作れるようになった。特定の民族になりすまして、批判の矛先をそこに向けられるようにするとかね」男は高級な腕時計を見てからコーヒーを一気に飲み干した。
「今から仕事ですか?」エス氏は訊いた。
「ちょっとそこで爆弾テロをやる約束になってるんだ。首相からの依頼さ」男は耳元で囁いた。
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