第2話 運命の相手

1/1
3368人が本棚に入れています
本棚に追加
/201ページ

第2話 運命の相手

あの出会いのあと、運命の(つがい)、高村さんとは全く接点がなかった。登録された連絡先を見て名前を知ったくらいで、お互い名乗りもしなかったことに後で気付き、愕然とした。 <運命の番>に会えば無条件で恋に落ちると思っていた。すぐに気付いて一目惚れして、その日のうちに恋人同士になれるって。 実際、動悸がしたし体も熱くなったし、微笑まれたら恋に落ちたかもしれない。 でも、目が合った直後の嫌そうな顔と、品定めされた目線に、全てが一瞬にして凍りついた。 運命の相手というのはこうなのか。 よく知りもしない相手の顔色ひとつで感情が乱高下して、思考も理性も追いつかない。まして、αに従う(さが)のΩなら、その存在感は尚更だ。 本当は、どんな人なのか知りたくて、遠くからでも見ようかと思ったが、視界に入れたらフラフラ近寄りそうだったし、近づくなと言われてた手前どんな顔をされるかと想像するだけで恐怖で動けず、高村さんのことは未だに知らなかった。 同じゼミの田中くんが、サークル繋がりで高村さんを知っていたので、どんな人か聞いてみた。 「あまり評判よくないかな。ヒートのΩ見つけたらすぐヤッてるし、普段はそこらの女にも手を出してる。お前の相手って、本当?あんまりオススメしないよ」 でも、出会ってしまったのだ。 怖いけれど、お互い色々知っていけばきっと上手くやっていける筈。
/201ページ

最初のコメントを投稿しよう!