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「嘘つき、嘘つき、嘘つき、嘘つき、嘘つき、嘘つき嘘つき、嘘つき、嘘つき、嘘つき……」
ノートいっぱいに書き始めた。
「嘘つき、嘘つき……」
美野里の手が止まる。
次の瞬間、自分に何が起きたか解らないままに目を見開いた。
自分の目の前に僕の顔があり、自分の唇に僕の唇が触れている事を
そおうと、彼女の唇から僕は離れた。
始め何が起こったか信じられないようにぼーとしていたが、ようやく理解出来たんだろう。美野里は顔を真っかにして「あうがうがう」と慌てふためいた。
そんな彼女を僕は抱きしめた。そして
「嘘なんかじゃない。僕は君が……好きだ」
彼女の耳元で囁いた。
彼女の強張った体が次第に柔らかくなっていった。そして、僕の背中に手をやり
「私も」と書いてくれた。僕は美野里を強く抱きしめた。
噴水から出る水しぶきが、空の青さを映し出している。
もうじき、夏がやってくる。
あれから僕らは、クラス公認の仲になっていた。
何せクラス全員の前で僕は告白してしまったんだから。
だと言って特別べたべたする様な事はしなかった。そして、彼女も少しづつ変わって行った。
後ろで編んでいた三つ編みを解き髪を流した。
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