話すことの出来ない彼女

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 その髪は背中まであって、彼女の雰囲気が一新した。掛けていたメガネをコンタクトにしたのも大きな要因だろう。   つまり、見違えるほどの美人になったと言う事だ。  クラスの男子どものみならず、校内に居る男子の注目の的になったていた。  美野里の友達でもある養護教諭の町田先生は、美野里を微笑ましく見守っている。  「よかったね美野里ちゃん。彼氏できて」何て言ってくれたことを、僕は彼女から訊いていた。  でも、僕らの向かうところは図書館、そしてあの公園が一番の場所だった。  そして共に小説を書くと言う事に力を注いでいた。  それでも僕らは幸せに暮らしていた。  ある日僕らはいつもの公園であのベンチに座って各々の小説を読み返していた。  突如に雲行きが怪しくなり、辺り一面真っ暗になった。次の瞬間、大粒の雨が滝のように落ち始めた。  「うわ、雨だ」  二人共慌てて走り出した。美野里のマンションは公園からすぐそこ、目と鼻の先だ。ひとまずマンションに行くことにした。  マンションにたどり着いたころには、既に二人共プールにでも洋服ごと入った様にずぶ濡れになっていた。  「あががう」美野里が指を指し家に来るように言った。でもこんなずぶ濡れで彼女の家に上がるのは気が引けた。     
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