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「あ、あの時ね。ほら、あの駅の近くに大きな大学病院があるでしょ。あの時私、あの大学病院に行った帰りなの。あの公園にはちょっとした寄り道」
「大学病院の帰り?誰かのお見まい。それとも何処か具合が悪いの」
その時、僕はまた後悔した。無断で彼女の領域に入ってしまった事を。でも彼女は、そんなことお構いなしに
「あはは、通院。そんなに具合が悪いって言う訳じゃないんだけど。私、前から片頭痛持ちで、それにあの大学病院で私の父が事務やってるの、だから便宜上たまに通っているの」
「片頭痛?」
「そう、片頭痛。だいぶ前からだから、もう馴れっこ。それに低血圧だから朝起きるの物凄く大変」
それを訊いて、ランチを食べながらナッキが話に割り込む。
「そ、だから私は高校からずっっと沙織の目覚まし時計。朝、電話で起こすのが私の役目」
彼女は、痛いところを突かれた様に「ははは」と誤魔化したが、隣に座るナッキに
「まったくもう、余計な事言わなくてもいいの。それにまた食べながら喋ってる。いい加減直してよ。行儀悪い」
そう言われナッキも笑って誤魔化した。
「そう言えば、さっき高校からって言ってたけど、二人は高校から」
ナッキは食べるのを止め
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