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「うん、沙織とは高校の時知り合った。何て言うかさぁ、お互い自分に無い所を補うと言うかさぁ、沙織っていつも本ばかり読んでて、礼儀正しくて控えめで、見た目地味だけど実は物凄い美人で言う事無いんだけど、人にあんまり馴染めないて言うか、男に対しても全く免疫無くてさぁ、目が離せないんだ」
ナッキは耐えきれず、ナイフで一口大に切ったハンバーグをフォークに刺し、あむっと口に頬張りながら
「私はさぁ、ほら見ての通りガサツで食い意地が張ってて、癖っ毛で色も黒い。性格上あんまり拘らないから体は女だけど、まるで男だなこりゃ。だから沙織みたいに清楚な女って言うのに憧れてるんだなきっと」
ナッキが話し終わると沙織さんは、ちらっと彼女の方を見てから僕に
「ちょっとごめんなさい。ナッキと話してて」
そう言って席を立った。
「あ、うん」そう言った後、ナッキも彼女をちょっと見て何も言わず彼女を見送った。
「トイレか、それならそう言えばいいのに」
その口調がまるで沙織さんの彼氏の様に訊こえた。
そして僕はまた、墓穴を掘ってしまう。
「何だかこうして二人を見ていると、ナッキさんは沙織さんの彼氏で、沙織さんはナッキさんの彼女みたいですね」
地雷だった。
ナッキは「ふうっ」とため息を覇いて
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