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運命の悪戯
白くなったキャンバスに再び思い出が描かれるように
***運命の悪戯***
***Ⅰ 初めての読者***
梅雨の合間の晴れた公園。
大きな木の下にある木陰に座り、束ねたA4サイズのコピー紙を一枚一枚めくりながら、そこに印刷されている文字を一文字づつ読んでいた。
青い空に浮かぶ白い雲。時折吹く風が心地よかった。
僕のアパートからすぐ近くにある公園。
その日はバイトが休みだった。
長雨が続いた後の晴れた公園には、小さな子供たちが楽しく遊ぶ声がする。
その声を聴きながら、僕は自分の書いた小説を読み返していた。
ポンポン、僕の足元にボールが転がり
「おじさぁーん。ボールとってぇ」
向こうから小さな女の子が呼びかけてきた。
「お、おじさんはないだろう」
俺、そんなに老けて見えるかなぁ。
僕は亜咲 達哉(あざきたつや)文系大学の3年生。将来は作家(小説家)を目指している。
小説を書く様になった切っ掛け?
それは……何となく。
高校の時、なんとなく書き始めた小説。書いてみると以外にも物語を書くことが、とても好きになっていた。
自分の中でめぐる世界が好きになっていた。
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